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[将軍澳-5]★ジョルダーノとアップルデイリーの創業者 2/28更新

 黎智英(Jimmy Lai)というビジネスマンをご存知でしょうか? 彼は香港を代表するファストファッションのブランド佐奴丹(Giordano)の創業者です。ユニクロがジョルダーノのビジネスモデルを参考したのは有名な話です。また、この人は香港でトップクラスの発行部数を誇る新聞、『蘋果日報(Apple Daily)』や雑誌『壹週刊(Next Magazine)』を発行している壹傳媒(Next Media)の創業者でもあります。壹傳媒の編集部や印刷工場は将軍澳工業園(Tseung Kwan O Industrial Estate)に構えています。とにかく、全く違う分野で事業を成功させたという稀有な人物です。そういう意味で彼に近いのはイギリスのコングロマリット、ヴァージンを率いるリチャード・ブランソンに似ているかと思います。
 
   黎智英は、広東省に1948年に生まれます。憧れの香港にあのスネークヘッドの手引きで密入国し、工場で働き始めます。働きに働き、株の取引などでも財産を蓄え、ついに衣料工場を買収。1981年にジョルダーノと立ち上げます。絞り込んだ商品にたくさんの色を揃える製造小売業(SPA)のやり方で急成長。東南アジア、中国に販路を広げていきます。
 
   ところが1989年の天安門家事件で中国政府を公開書簡で非難したり、何十万枚もの反体制のTシャツを販売して反中国政府の姿勢を明確にします。1990年には壹週刊を創刊してまたまた中国政府を非難。彼は民主派として、そして反体制というスタンスを取り続けました。
 
   ただ、この姿勢をとったことでジョルダーノの中国での経営認可が次々取り消されジョルダーノは窮地に追い込まれます。最終的には責任を取ってジョルダーノを辞任することになります。そして、メディア事業に専念し事業を拡大。2001年には台湾にも進出するなど中華圏の一大メディア王国を作り上げました。今でも権力にかみ付く姿勢は変わっていませんので、ネクストメディアが発行する新聞、雑誌は中国本土では発行禁止。税関で見つかれば即没収です。
 
   香港で成功したビジネスマンは中国本土とのビジネスを考慮して、内心は反体制でも中国政府を支持する立場を表明する人がほとんどです。蘭桂坊(Lan Kwai Fong)を作ったAllan Zemanはドイツ生まれのカナダ人ですが、彼でさえビジネスが関係してくることから中国政府を支持する立場です(2008年にはカナダの市民権を放棄しています)。
 
   そういう意味では黎智英は長いものに巻かれない、気骨のある人物といっていいでしょう。

筆 者 武田信晃
E-mail nobuwork@hotmail.com
略 歴 1996年大学卒業し、新聞社、週刊香港で記者・編集者として従事する。2005年に独立してフリーランスのライターとして活動を開始し現在に至る。香港の政治・経済を中心に執筆する一方、ミーハーな性格から香港映画・芸能、レストランなどのサブカルチャーの記事も守備範囲で08年には『ファーストフードマニア 中国・台湾・香港編』(社会評論社、共著)を刊行した。また、スポーツ好きで香港セブンス、マカオGPは必ず現場に足を運んで取材を敢行する。一方で、カナダ人デザイナーと女性向けバッグLiuciaを07年に設立。ビジネスにも携わることになりストレスをためこむ。また、相方は香港の血を引いているため、香港市民の友人を持つだけではわからない香港を知ることになりディープな原稿を書くことも可能。
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