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[MTR Part 13]★ショッピングモールも経営しています 6/11更新

香港鉄路(MTR)は鉄道の運営だけを行っているわけではありません。事業の多角化をしています。今回からいくつか紹介したいと思います。MTRはショッピングモールの経営を積極的に行っています。
 
  鉄道を利用してもらうためにデパートを作ったというのは阪急の創業者小林一三が始めたビジネスモデルですが、香港の場合は不動産収入は安定しているから参入するという意味合いの方が強いと思います。
 
  MTRではショッピングモールを3つのカテゴリーに分けて運営しています。「高端商場(Luxury Mall)」に位置付けているのが九龍駅(Kowloon Station)の上にある「圓方(Elements)」です。こちらは高級ブランドがたくさんテナントとして入居しています。
 
  「地区性商場(Regional Malls)」として区分けされているのが九龍湾(Kowloon Bay)の「徳福広場(Telford Plaza)」、青衣(Tsing Yi)にある「青衣城(Maritime Square)」、将軍澳に構える「PopCorn」です。こちらは高級路線ではありませんが、かなり大規模なモールとして運営されています。
 
  最後が「其他商場(Neighbourhood Malls)」というものです。規模はそこそこでその地域に密着したショッピングモールです。杏花邨(Heng Fa Chuen)の「杏花新城(Paradise Mall)」、[艸/全]湾(Tsuen Wan)の「綠楊坊(Luk Yeung Galleria)」、坑口(Hang Hau)にある「連理街(The Lane)」、沙田(Shatin)の「Citylink」、火炭(Fo Tan)の「駿景広場(Plaza Ascot)」、屯門(Tuen Mun)にある「海趣坊(Ocean Walk)」、屯門西(Tuen Mun West)の「新屯門商場(Sun Tuen Mun Shopping Centre)」、同じく屯門にある「恒福商場(Hanford Plaza)」の8つのモールがあります。
 
  これだけのモールを運営しているのですが、MTRはデベロッパーではないにも関わらず実に賢く運営している印象を受けます。
 

[MTR Part 12]★毎年のように乗車料金が値上がり 6/4更新

香港に長年住んでいると、「最近の香港鉄路(MTR)は毎年のように値上げするな」と感じることでしょう。値上げをすることが少ない日本の鉄道会社を考えると対照的なだけに余計に感じるかもしれません。
 
  実際MTRは2011年=2.2%、2012年=5.4%、2013年=2.7%、2014年=3.6%、2015年=4.3%、2016年=2.65%、2017年=凍結、2018年=3.14%とほぼ毎年値上げしてきました。しかも2018年は2017年の凍結分を含むというものです。
 
  これは2010年からMTRは「可加可減機制(Fare Adjustment Mechanism)」というやり方で運賃を算出しているからです。つまり、2010年以前はほとんど値上げが頻発することはありませんでした。そして、この計算方法のやり方ですが、インフレなどを加味するので値下げが起きにくいようになっているのです。
 
  もちろん、香港市民に不評です。最大の理由は、ほぼ毎年大幅な黒字を出しているにもかかわらず値上げをするからです。しかも、前々回書いたように列車事故や遅延が連発。さらには、新路線の開通が遅れたり、工事に不備があったりと、全体的にサービスに見合った運賃を提供していないと感じる人が多いのは自然なことかもしれません。
 
  MTRでは、その不満を解消するべく料金の値上げをするたびに、早期割引、定期券価格の据え置きなど運賃の還元をするということをしていますが、根本的に対応を間違っている気がしてなりません。
 

[MTR Part 11]★地下鉄ホームドアの設置はほとんどが日本製 5/28更新

ホームドアの設置は転落防止、自殺防止の観点からも世界中の鉄道会社の課題とも言えます。設置するには1駅のプラットホームあたり億単位の費用がかかるみたいなので、一気に設置するとは行かないようですが、順調に設置が進んでいると思います。
 
  香港は世界に先駆けてホームドアを設置してきてきた鉄道会社です。1998年に「機場快線(Airport Express)」の開設とともに青衣(Tsing Yi)や九龍(Kowloon)駅などにフランスのFaiveley Transport社製のを設置したのが始まりです。
 
  設置が本格化したのは2000年代に入ってからです。2001年に北角(North Point)に日本のナブテスコ社のホームドアが採用され、2002年になると將軍澳線(Tseung Kwan O Line)が開通しますが、沿線の駅は全てナブテスコ社になります。一方、同じ2002年に荃湾線(Tsuen Wan Line)の尖沙咀(Tsim Sha Tsui)や旺角(Mong Kok)などにも設置されましたがこちらはスイスのKABA Gilgen AG社が担当します。2003年に開通した西鉄線(West Rail Line)はすべてナブテスコが担当する一方、港島線(Island Line)には2003年~2005年にかけて多く設置されましたが、こちらはKABA Gilgen AGが落札と2つの会社が争っていました。
 
  ところが、2011年にナブテスコがKABA Gilgen AGを買収。社名をGilgen Door Systems AGに変更します。その結果、東涌線(Tung Chung Line)と機場快線以外はナブテスコのグループ会社が担当していることになりました。また、現在建設中の屯馬線(Tuen Ma Line)の顯徑(Hin Keng Station)や紅磡(Hung Hom)の7駅も子会社のGilgen Door Systems AGが施行する事になっています。つまり、日本の会社が香港のホームドアのほとんどを担当していることになります。
 

[MTR Part 10]★事故が頻発するMTR 5/21更新

ここ数年、香港鉄路(MTR)は事故や遅延問題が頻発しています。原因の1つとして、地下鉄を運営していた地下鉄路(Mass Transit Railway Corporation / MTRC)と九龍と広州を結んでいた九廣鉄路(Kowloon-Canton Railway /KCR)が2007年に合併したこと挙げられます。一気に規模が大きくなって運営が難しくなったからです。またMTRの職員組合によるとMTRは利益出しているにもかかわらず、補修とかの予算を削減しているほか、人手不足も深刻化しているからと言われています。
 
  2010年以降見ても、事故と特に遅延が頻発しています。2018年10月16日荃湾線(Tsuen Wan Line)の信号システムを更新をしようとしたところ不具合が発生します。それが連鎖して觀塘線(Kwun Tong Line)と港島線(Island Line)の信号システムも不調に陥ります。結局、始発から間引き運転をすることになり朝のラッシュ時は大混乱。バス停には長い行列ができました。補修にも時間がかかり港島線で9時20分ごろから正常運行に戻りました。ところがその約1時間後の午前10時20分ごろ今度は將軍澳線(Tseung Kwan O Line)で信号システムに不具合が発生。13時に修理が終わったのですが、4つの線で問題が発生するという事になってしまいました。MTRは迷惑をかけたということで11月3日と4日に割引料金でも運行をしました。
 
  記憶に新しいのは2019年3月18日に発生した事故です。早朝の午前3時ごろ、荃湾線の中環(Central)と金鐘(Admiralty)の間で、新信号システムの試験をするために走行していた2つの車両が衝突する事故が発生します。中環駅は起点・終点ですので、もし、金鐘駅から列車が入線してくるとプラットホームの1番線か2番線に振り分けられるので、手前にある線路のポイントが切り替わる作業が行われます。このテストでは、それが何かの影響で機能せず、2つの車両が衝突したのです。
  深夜でのテスト走行ですので、乗客が乗っていなかったことは幸いでした。この事故で荃湾線は18日と翌19日運休に追い込まれ、3月20日から再開をしました。
 

[MTR Part 9]★最大300ドルの還付を受けることのできる 5/14更新

香港政府運輸署(Transport Department)は1月1日から公共交通機関で月額400香港ドル以上を利用した場合、最大で300香港ドルを還付する制度の運用を始めました。香港政府が財政に余裕があるということから市民への還元という意味を込めて行われている制度です。月額で400ドル以上の交通費となった場合に、上限を300ドルとして交通費の25%が戻るという仕組みです。
 
  還付となる公共交通機関は地下鉄(MTR)、軽鉄(LRT)、九龍巴士(KMB)、城巴(City Bus)、新世界第一巴士(New World First Bus)、龍運巴士(LMB)、新大嶼山巴士(New Lantau Bus)、緑のミニバス全路線などです。
 
  還付を受けるには基本的に八達通(Octopus)の利用が必要となります。ここに全ての乗車記録が記録され(各駅には乗車記録を確認できる機械があります)、MTR全ての駅(94駅)、5つのLRT駅、フェリーふ頭22カ所、セブン-イレブンやサークルKといったコンビニエンスストア、大手スーパーマーケットチェーンの恵康(Wellcome)に設置された機械を利用します。機械は青と緑色の2種類あるのですが、一般の人は青色の「補貼領収站(Subsidy Collection Point)」という機械に八達通をかざすだけです。ちなみに緑色の「指定車船票自助登記站(Designated Transport Ticket Self-registration Point)」は定期券用と思って下さい。このようにシステムは非常に簡単で、誰でも還付を受けられるようにしています
 
  小生も早速試しましたが、12ドルほど還付されました。わずか12ドルといういい方もできますが、小市民としてはこういうものは嬉しいものです。
 

[MTR Part 8]★エアポート・エクスプレスその2:博覧館駅への延伸 5/7更新

中環(Central)にある香港駅と香港国際空港を結ぶ「機場快線(Airport Express)」ですが1998年に開通しています。そして、路線を延伸させて2005年12月に「博覧館(Asia World Expo)」という駅が出来ました。これは湾仔(Wan Chai)にあるコンベンション施設「会議展覧中心(HKCEC)」だけでは会場が足りなくなり新しいコンベンション施設を空港横に新設したからです。ここでは安室奈美恵、GLAYといった日本のアーティストのほかアッシャー、テイラー・スウィフトといった海外のトップ歌手のコンサートなども開催されています。これのおかげでエアポート・エクスプレスに乗るのは、空港に行くだけではなく、コンサートや展示会に向かうために利用する機会が増えました。
 
  香港港路(MTR)が賢いと思うのは、エアポート・エクスプレスは香港-博覧館は片道115ドルするのですが、博覧館に1時間以上滞在し、同じ日に戻って来る時、もし電子マネーの八達通(Octopus)を利用したばあい80ドルという割り引き料金を採用している事です。賢いと書きましたが、MTRとしては値下げをせざるを得ない理由があります。開業時はのエアポート・エクスプレスは空港まで100ドルしたのですが、「料金が高い」と香港市民から不評を買ったからです。これにより乗客数もあまり伸びませんでした。
 
  博覧館への往復は単純計算でいくと230ドルもすることになり、いくら大物歌手がコンサートを開いても、チケット料金に加えてさらに230ドルもかかる=3000円以上負担しないといけないので、チケットが売れないというリスクを計算したということでしょう。
 
  なお、電車の出発頻度ですが大体10分に1本程度なので、それほど待つ必要はありません。
 

[MTR Part 7]★エアポート・エクスプレスその1:概要 4/30更新

中環(Central)にある香港駅と香港国際空港を結ぶのが1998年7月6日に開通した「機場快線(Airport Express)」です。旧啓徳空港(Kai Tak Airport)の時は市街地から近かったのでアクセスといういみでは容易でしたが、今回は大嶼山(Lantau Island)に作られたのでアクセスの利便性向上は必須だからです。
 
  通過駅は九龍駅(Kowloon Station)、青衣(Tsing Yi)、機場(Airport)、博覧館(Asia World Expo)の4つです。全長は35.3キロで、中環と空港は24分、中環と博覧館は28分で結んでいます。車両は8両編成で最高時速は135キロ、1日当たり4万3000人を運び、約20年間で2億人以上を運んできました。
 
  座席は非常に快適でリラックスできるほかUSBポートも設置してスマートフォンを充電できるようにしたり、WiFiに接続できるようにしたりといった配慮もしています。運行時間については、空港発の始発は5時54分、終電は0時48分、市内から空港へは香港駅を使った場合、始発が5時50分、終電が0時48分となっています。また、香港駅と九龍駅からは、主要ホテルを回る香港エアポート・エクスプレス専用の無料シャトルバスがあるので、ホテルからエアポート・エクスプレスまでの交通費が浮くという、日本の以上の細かなサービスを提供しています。
 
  画期的なのは香港駅と九龍(Kowloon )駅では空港に行かなくてもチェックインできる「市区預弁登機服務(In-town Check-in)」です。ここでチェックインしてしまうことで、乗客は空港へは大きな荷物なしで向かうことができるのです。ですので、中環や圓方(Elements)で最後の買い物を出来るので、香港市民、観光客、ビジネスマンなど多くの人が喜ぶサービスです。
 

[MTR Part 6]★香港と中国を結ぶ高速鉄道その4:西九龍駅(2) 4/23更新

前回、西九龍駅(West Kowloon Station)は巨大と書きましたが、高層ビルに囲まれた香港という意味では、高さ的には低いと感じでしょう。ただ、高速で鉄道を走らせるために香港区間はほとんどを地下に線路を敷設させたので西九龍駅は下へ下へという深い駅という印象を受けるでしょう。実際、吹き抜けの構造で、かつガラス張りにしているので、待合室が地下にあるのを見ることができます。
 
  駅舎内は、フードコート的な食事をするエリアや上の階には点心で有名な「添好運(Tin Ho Wan)」があります。お土産を買うゾーンももちろんあります。チケットを買うのは、自販機であったり、カウンター越しに買ったりすることになりますが、電子掲示の時刻表の大きさにも圧倒されます。
 
  中国の高速鉄道と同じく待合室やプラットホームに行くには自由には行けず、この時間帯に出発する人だけが、構内の奥に入れます。香港側で香港と中国の税関業務の両方を行うというのも特徴です。小生はまだ利用していませんが、西九龍駅構内に中国と香港の境界線が引かれているそうです。
 
  前回、駅の屋上に階段を設置し歩けるようにして、最上階に展望台を設置したと書きましたが、展望台へはエレベーターもあるのでそちらも使えます。ここからは、左手に海港城(Harbour City)や新しくできた京劇の劇場「戲曲中心(Xiqu Theatre)」があり、正面には「国際金融中心(IFC)」を中心とした香港島の高層ビル群、右手には建設が進められているには「西九文化区(The West Kowloon Cultural District)」の各種建築物やショッピングモールの「圓方(Elements)」を一望できます。
 

[MTR Part 5]★香港と中国を結ぶ高速鉄道その3:西九龍駅(1) 4/16更新

「高速鉄道廣深港高速鐵路(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)」の香港側の起点/終点になる駅が西九龍駅(West Kowloon Station)です。西九龍文化区(West Kowloon Cultural District)と隣接するほか、大型高級ショッピングモール「圓方(Elements)」と直通ですから、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)や佐敦(Jordan)は全体的に西側への人が流れが強くなると思います。また、地下鉄の九龍駅(Kowloon Station)と柯士甸駅(Austin Station)ともつながっているので、西九龍文化区が完成した暁には、尖沙咀、銅鑼湾(Causeway Bay)、中環(Central)のような香港街なか、中心地の1つになる可能性が低くありません。
 
  本当に巨大ターミナル駅で、11ヘクタールの敷地に地上2フロア、地下4フロアの駅で総床面積は43万平方メートル。ホームは長距離用が9、短距離用が6、レストランや免税店などの商業施設は3万平方メートルを誇ります。パスポートなどの審査のカウンターは144カ所、出入国用IDカードの機械は75機を設置。500台分の駐車場、休憩室などの駅に必要な施設も造るほか、8900平方メートルの公園も建設。大型のバスターミナル、ミニバス用のバス停もあります。エスカレーターは70台、エレベーターは120台、自動券売機は39台など、何から何まで大きいです。もちろん、駅にはレストランエリア、お土産ゾーンも設けられています。
 
  この駅で面白いのは、駅の屋上を歩けるようにして、最上階に展望台を設置したことです。この辺は、観光都市である香港は観光というものをよく理解している気がします。
 

[MTR Part 4]★香港と中国を結ぶ高速鉄道その2:料金や日系企業 4/9更新

元々、「高速鉄道廣深港高速鐵路(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)」は、2015年に開通予定で、香港側ルートは2010年1月に着工していました。しかし、天候不順、原材料価格の高騰などで工事がどんどん遅れて、2018年9月までずれ込んだという経緯があります。そのおかげで、予算が想定以上に膨らんでしまい、立法会は650億ドルで承認したのに、前回述べましたが最終的には844億2000万ドルまでに達してしまいました。一時期は立法会の承認が下りず、プロジェクトが破綻しかねない危機に陥ったほどです。
 
  この工事には日系企業も携わっていまして、前田建設工業が中国建築と共同体(JV)を組んで、トンネル工事と停車場および待避線工事の2件、計約47億2,000万ドルで落札しています。五洋建設も同じくトンネル工事を約16億8,000万香港ドルで単独受注しました。また、新菱冷熱工業が環境コントロールシステムと電気系統の設置工事など計3件、約16億3,000万ドルで請け負っており、頑張っています。
 
  列車は8両編成で、先頭と最後の車両は計68席で読書用のライトやフットレストなどが完備する「グリーン車」のような車両になっています。2号車から7号車は、普通車で計511席。トイレは7号車のみで、IT時代を象徴するかのように全ての座席に電源がついています。
 
  料金ですが、座席は下から2等、1等、特等、商務の4種類ありまして、2等で比較すると福田までは77ドル、広州南が242ドル、桂林西が428ドル、長沙南が598ドル、北京西が1217ドルに設定されています。

[MTR Part 3]★香港と中国を結ぶ高速鉄道その1:概要 4/2更新

香港と広州南を結ぶ「高速鉄道廣深港高速鐵路(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)」の香港側が2018年9月23日に開通しました。
 
  総事業費は844億2,000万香港ドルで、香港の西九龍駅(West Kowloon Station)から深[土川]の福田などを経由して広州南駅結ぶ高速鉄道です。全長は香港側が26キロ、中国本土側は116キロあり、香港側には駅はありません。中国側は福田、深[土川]北、光明城、虎門、慶盛、広州南の6駅あります。広州までつながっているという意味は、北京までもつながる中国高速鉄道網の一部ということになります。
 
  最高速度は350キロで、運行速度は中国側が300キロ、香港側は200キロなので、まさに新幹線ですから都市間移動が一気に楽になります。羅胡(Lo Wu)経由の路線(特急のような感じ)では、香港-深[土川]は49分、香港-広州東駅は2時間かります。高速鉄道では、香港-福田が14分、香港-深[土川]北駅で23分、香港-広州南駅で48分と所要時間が大幅に短くなりました。ちなみに香港-北京間は23時間から8時間になります。
 
  日本でも新幹線で通勤する人もいることを考えると通勤圏ともいえるほどです。広州市の人口は約1400万人、香港は約700万人。計2100万人あまりになるので、この2都市だけで近畿圏と同じくらいになります。
  1日当たりの乗客数は、西九龍から福田および深[土川]北を6万7500人、西九龍-広州南は1万8300人と想定しています。その他の途中下車する乗客などを含めると西九龍発の列車では1日10万9200人の利用客があると計算しています。香港-深センは15分に1本、香港-広州は30分に1本の頻度です。
 

[MTR Part 2]★MTRが八達通の普及を後押し 3/26更新

香港は電子マネーの八達通(Octopus)というのが香港市民に幅広く流通しています。1997年から利用が開始され、2018年までに累計3450万枚が発行されています。単純計算で香港市民1人4.6枚持っていることになります(15歳~64歳の所持率は99%)。現在では、MTRのみならず、バス、一部のタクシー、トラム、セブンイレブン、マクドナルド、恵康(Wellcome)など幅広く利用が可能ですが、ここまで香港市民が持つようになったのは、香港港路(港鉄 / MTR)が採用したことだと思います。
 
  MTRの上手だなと感じるのは、日本ですとJR東日本でSuicaを利用しても割引が採用されないのですが、香港の場合は現金で乗車券を買うよりOctopusを使う方が料金が安いというのがあります。MTRは売上をよりも八達通を普及させるための割引を受け入れたということです。バスにおいても同じで、昔はお釣りが出なかったのですが八達通のおかげでお釣りを気にしなくて良くなるという点も普及を後押ししました。
 
  ちなみにJR東日本がSuicaを開始したのが2001年なので、香港の方が日本より4年も早いです。非接触型のカードで通信方式は「Near Field Communication(NFC)」を採用しているのですが、その技術はソニーとフィリップスが共同開発した技術ですので、そう考えても、日本より香港の方が先見の明があったという、日本にとっては皮肉な現実です。
 
  NFCはプログラムさえ変えればいいので、さらなる特別割引をしたり、2019年に香港政府による交通費の還付も八達通を利用したりしており、MTRはNFCを採用すること決めたのは香港社会に大きな影響を与えたといっていいでしょう。
 

[MTR Part 1]★香港市民の足、MTR。乗り換えをスムーズにさせることまで考えられている 3/19更新

今回から鉄道の香港港路(MTR)を紹介したいと思います。漢字では「港鉄」と書かれますが、開業から2017年で20億人を運んだ香港市民の足です。
 
  今、新路線にまつわる工事のミスでいろいろ揉めていますが、イギリスによる植民地時代の官僚から現在まで、基本的にはしっかりと計画を練って整備をしているのがわかります。路線図をみると東京と比べてかなり分かりやすくなっていますし、何よりも乗り換えは、基本的に上の階や下の階に移動することなく反対側のプラットホームに移動すればいいと言う構造になっています。これが、筆者がMTRを評価しているところです。
 
  例えばですが、乗り換え駅を2つの駅に分散させていた時がありました。赤い荃湾線(Tsuen Wan Line)と緑色の観塘線(Kwun Tong Line)の場合、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)駅から九龍塘(Kowloon Tong)に行く時は、旺角(Mong Kok)駅で乗り換えます。もちろん、乗り換えは対面のプラットホームに行くだけです。一方、九龍塘から尖沙咀に行く場合の乗り換え駅は旺角ではなく次の油麻地(Yau Ma Tei)駅でした(今は、観塘線が黄埔(Whampoa)駅まで延長されたので油麻地駅は黄埔方面に乗り換え駅になっています)。1つの駅で両方向の乗り換えさせるのではなく、駅を分散させることで混雑を緩和させるという狙いがあります。対面での乗り換えも、混雑緩和に役立つほか乗り換えも簡単なので、客にとっては非常にありがたいサービスです。
 
  それを実現させるためには、工事費がかかります。普通は一般道路のように同じ路線が地下にほぼ同じ深さで平行に掘られて地下鉄を運行させています。ですが、対面にするということは、反対側に別の路線を持って来なければいけないので、同じ路線は横ではなく2階建てバスのように縦にしなければなりません。つまり、佐敦(Jordan)駅から油麻地駅までの工事は複雑になり、お金がかかります。それをやると決めたのは、香港政庁は英断したと思います。
 

筆 者 武田信晃
E-mail nobuwork@hotmail.com
略 歴 1996年大学卒業し、新聞社、週刊香港で記者・編集者として従事する。2005年に独立してフリーランスのライターとして活動を開始し現在に至る。香港の政治・経済を中心に執筆する一方、ミーハーな性格から香港映画・芸能、レストランなどのサブカルチャーの記事も守備範囲で08年には『ファーストフードマニア 中国・台湾・香港編』(社会評論社、共著)を刊行した。また、スポーツ好きで香港セブンス、マカオGPは必ず現場に足を運んで取材を敢行する。一方で、カナダ人デザイナーと女性向けバッグLiuciaを07年に設立。ビジネスにも携わることになりストレスをためこむ。また、相方は香港の血を引いているため、香港市民の友人を持つだけではわからない香港を知ることになりディープな原稿を書くことも可能。
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