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[MTR Part 5]★香港と中国を結ぶ高速鉄道その3:西九龍駅(1) 4/16更新

「高速鉄道廣深港高速鐵路(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)」の香港側の起点/終点になる駅が西九龍駅(West Kowloon Station)です。西九龍文化区(West Kowloon Cultural District)と隣接するほか、大型高級ショッピングモール「圓方(Elements)」と直通ですから、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)や佐敦(Jordan)は全体的に西側への人が流れが強くなると思います。また、地下鉄の九龍駅(Kowloon Station)と柯士甸駅(Austin Station)ともつながっているので、西九龍文化区が完成した暁には、尖沙咀、銅鑼湾(Causeway Bay)、中環(Central)のような香港街なか、中心地の1つになる可能性が低くありません。
 
  本当に巨大ターミナル駅で、11ヘクタールの敷地に地上2フロア、地下4フロアの駅で総床面積は43万平方メートル。ホームは長距離用が9、短距離用が6、レストランや免税店などの商業施設は3万平方メートルを誇ります。パスポートなどの審査のカウンターは144カ所、出入国用IDカードの機械は75機を設置。500台分の駐車場、休憩室などの駅に必要な施設も造るほか、8900平方メートルの公園も建設。大型のバスターミナル、ミニバス用のバス停もあります。エスカレーターは70台、エレベーターは120台、自動券売機は39台など、何から何まで大きいです。もちろん、駅にはレストランエリア、お土産ゾーンも設けられています。
 
  この駅で面白いのは、駅の屋上を歩けるようにして、最上階に展望台を設置したことです。この辺は、観光都市である香港は観光というものをよく理解している気がします。
 

[MTR Part 4]★香港と中国を結ぶ高速鉄道その2:料金や日系企業 4/9更新

元々、「高速鉄道廣深港高速鐵路(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)」は、2015年に開通予定で、香港側ルートは2010年1月に着工していました。しかし、天候不順、原材料価格の高騰などで工事がどんどん遅れて、2018年9月までずれ込んだという経緯があります。そのおかげで、予算が想定以上に膨らんでしまい、立法会は650億ドルで承認したのに、前回述べましたが最終的には844億2000万ドルまでに達してしまいました。一時期は立法会の承認が下りず、プロジェクトが破綻しかねない危機に陥ったほどです。
 
  この工事には日系企業も携わっていまして、前田建設工業が中国建築と共同体(JV)を組んで、トンネル工事と停車場および待避線工事の2件、計約47億2,000万ドルで落札しています。五洋建設も同じくトンネル工事を約16億8,000万香港ドルで単独受注しました。また、新菱冷熱工業が環境コントロールシステムと電気系統の設置工事など計3件、約16億3,000万ドルで請け負っており、頑張っています。
 
  列車は8両編成で、先頭と最後の車両は計68席で読書用のライトやフットレストなどが完備する「グリーン車」のような車両になっています。2号車から7号車は、普通車で計511席。トイレは7号車のみで、IT時代を象徴するかのように全ての座席に電源がついています。
 
  料金ですが、座席は下から2等、1等、特等、商務の4種類ありまして、2等で比較すると福田までは77ドル、広州南が242ドル、桂林西が428ドル、長沙南が598ドル、北京西が1217ドルに設定されています。

[MTR Part 3]★香港と中国を結ぶ高速鉄道その1:概要 4/2更新

香港と広州南を結ぶ「高速鉄道廣深港高速鐵路(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)」の香港側が2018年9月23日に開通しました。
 
  総事業費は844億2,000万香港ドルで、香港の西九龍駅(West Kowloon Station)から深[土川]の福田などを経由して広州南駅結ぶ高速鉄道です。全長は香港側が26キロ、中国本土側は116キロあり、香港側には駅はありません。中国側は福田、深[土川]北、光明城、虎門、慶盛、広州南の6駅あります。広州までつながっているという意味は、北京までもつながる中国高速鉄道網の一部ということになります。
 
  最高速度は350キロで、運行速度は中国側が300キロ、香港側は200キロなので、まさに新幹線ですから都市間移動が一気に楽になります。羅胡(Lo Wu)経由の路線(特急のような感じ)では、香港-深[土川]は49分、香港-広州東駅は2時間かります。高速鉄道では、香港-福田が14分、香港-深[土川]北駅で23分、香港-広州南駅で48分と所要時間が大幅に短くなりました。ちなみに香港-北京間は23時間から8時間になります。
 
  日本でも新幹線で通勤する人もいることを考えると通勤圏ともいえるほどです。広州市の人口は約1400万人、香港は約700万人。計2100万人あまりになるので、この2都市だけで近畿圏と同じくらいになります。
  1日当たりの乗客数は、西九龍から福田および深[土川]北を6万7500人、西九龍-広州南は1万8300人と想定しています。その他の途中下車する乗客などを含めると西九龍発の列車では1日10万9200人の利用客があると計算しています。香港-深センは15分に1本、香港-広州は30分に1本の頻度です。
 

[MTR Part 2]★MTRが八達通の普及を後押し 3/26更新

香港は電子マネーの八達通(Octopus)というのが香港市民に幅広く流通しています。1997年から利用が開始され、2018年までに累計3450万枚が発行されています。単純計算で香港市民1人4.6枚持っていることになります(15歳~64歳の所持率は99%)。現在では、MTRのみならず、バス、一部のタクシー、トラム、セブンイレブン、マクドナルド、恵康(Wellcome)など幅広く利用が可能ですが、ここまで香港市民が持つようになったのは、香港港路(港鉄 / MTR)が採用したことだと思います。
 
  MTRの上手だなと感じるのは、日本ですとJR東日本でSuicaを利用しても割引が採用されないのですが、香港の場合は現金で乗車券を買うよりOctopusを使う方が料金が安いというのがあります。MTRは売上をよりも八達通を普及させるための割引を受け入れたということです。バスにおいても同じで、昔はお釣りが出なかったのですが八達通のおかげでお釣りを気にしなくて良くなるという点も普及を後押ししました。
 
  ちなみにJR東日本がSuicaを開始したのが2001年なので、香港の方が日本より4年も早いです。非接触型のカードで通信方式は「Near Field Communication(NFC)」を採用しているのですが、その技術はソニーとフィリップスが共同開発した技術ですので、そう考えても、日本より香港の方が先見の明があったという、日本にとっては皮肉な現実です。
 
  NFCはプログラムさえ変えればいいので、さらなる特別割引をしたり、2019年に香港政府による交通費の還付も八達通を利用したりしており、MTRはNFCを採用すること決めたのは香港社会に大きな影響を与えたといっていいでしょう。
 

[MTR Part 1]★香港市民の足、MTR。乗り換えをスムーズにさせることまで考えられている 3/19更新

今回から鉄道の香港港路(MTR)を紹介したいと思います。漢字では「港鉄」と書かれますが、開業から2017年で20億人を運んだ香港市民の足です。
 
  今、新路線にまつわる工事のミスでいろいろ揉めていますが、イギリスによる植民地時代の官僚から現在まで、基本的にはしっかりと計画を練って整備をしているのがわかります。路線図をみると東京と比べてかなり分かりやすくなっていますし、何よりも乗り換えは、基本的に上の階や下の階に移動することなく反対側のプラットホームに移動すればいいと言う構造になっています。これが、筆者がMTRを評価しているところです。
 
  例えばですが、乗り換え駅を2つの駅に分散させていた時がありました。赤い荃湾線(Tsuen Wan Line)と緑色の観塘線(Kwun Tong Line)の場合、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)駅から九龍塘(Kowloon Tong)に行く時は、旺角(Mong Kok)駅で乗り換えます。もちろん、乗り換えは対面のプラットホームに行くだけです。一方、九龍塘から尖沙咀に行く場合の乗り換え駅は旺角ではなく次の油麻地(Yau Ma Tei)駅でした(今は、観塘線が黄埔(Whampoa)駅まで延長されたので油麻地駅は黄埔方面に乗り換え駅になっています)。1つの駅で両方向の乗り換えさせるのではなく、駅を分散させることで混雑を緩和させるという狙いがあります。対面での乗り換えも、混雑緩和に役立つほか乗り換えも簡単なので、客にとっては非常にありがたいサービスです。
 
  それを実現させるためには、工事費がかかります。普通は一般道路のように同じ路線が地下にほぼ同じ深さで平行に掘られて地下鉄を運行させています。ですが、対面にするということは、反対側に別の路線を持って来なければいけないので、同じ路線は横ではなく2階建てバスのように縦にしなければなりません。つまり、佐敦(Jordan)駅から油麻地駅までの工事は複雑になり、お金がかかります。それをやると決めたのは、香港政庁は英断したと思います。
 

筆 者 武田信晃
E-mail nobuwork@hotmail.com
略 歴 1996年大学卒業し、新聞社、週刊香港で記者・編集者として従事する。2005年に独立してフリーランスのライターとして活動を開始し現在に至る。香港の政治・経済を中心に執筆する一方、ミーハーな性格から香港映画・芸能、レストランなどのサブカルチャーの記事も守備範囲で08年には『ファーストフードマニア 中国・台湾・香港編』(社会評論社、共著)を刊行した。また、スポーツ好きで香港セブンス、マカオGPは必ず現場に足を運んで取材を敢行する。一方で、カナダ人デザイナーと女性向けバッグLiuciaを07年に設立。ビジネスにも携わることになりストレスをためこむ。また、相方は香港の血を引いているため、香港市民の友人を持つだけではわからない香港を知ることになりディープな原稿を書くことも可能。
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